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2026.11.02

Shopify Editions Fall ’26の新機能を日本のEC事業者向けに解説|今使える機能とブラックフライデー前の準備

Shopify Editions Fall ’26 日本のEC事業者向け 新機能まとめ(AIチャネル・Sidekick・ロールアウト・チェックアウト)

2026年10月28日、Shopifyは半年に一度の大型アップデート Shopify Editions Fall ’26(Fall 2026 Edition)を発表しました。テーマは「Exponential」。公開された新機能は150以上です。たとえば、AIとの会話の中で商品が売れる「AIチャネル」への対応、AIアシスタントSidekickの強化、セールの予約公開、チェックアウトの刷新などがあります。つまり、ストア運営のほぼ全領域に変更が入っています。

ただし、発表された機能のすべてが日本のストアですぐに使えるわけではありません。米国やカナダの事業者に限られた機能や、早期アクセス段階の機能も多くあります。

この記事では、Shopifyの構築・運用を支援している私たちインフィニションが、日本のEC事業者に関係の深いアップデートを厳選しました。そのうえで、「今すぐ使えるもの」「今のうちに準備しておくべきもの」「現時点では日本は対象外のもの」に分けて解説します。

目次

  1. Editions Fall ’26とは
  2. 日本のストア目線で仕分けると
  3. AIチャネル(エージェンティックコマース)への備え
  4. SidekickとCanvas:AIが「作業する」段階へ
  5. ロールアウト:セールの予約公開と自動終了
  6. チェックアウトの新機能とShopify Protect
  7. 日々の運用・商品管理・分析の改善
  8. 実店舗(POS)とShopアプリ
  9. 注意しておきたい変更点と期限
  10. 現時点で日本は対象外・限定的な機能
  11. まとめ:ブラックフライデー前と後にやること
  12. 参考リンク(公式発表・ヘルプセンター)
  13. Shopifyの運用・新機能の活用にお悩みの方へ

1. Shopify Editions Fall ’26とは

Editionsは、Shopifyが年2回発表する新機能・アップデートの総称です。Fall ’26では、11のカテゴリ(Agentic、Sidekick、オンライン、マーチャンダイジング、小売、決済、オペレーション、Shop、マーケティング、フルフィルメント、開発者)で150以上のアップデートが公開されました。なお、これまでのEditionsについても「Summer ’25 Editionの新機能まとめ」などでまとめていますので、あわせてご確認ください。

今回の軸は「ネットワーク効果」です。Shopify上の膨大なストアと買い物客のつながりを、個々のストアの売上や業務効率、不正対策に還元するという考え方が、ほぼすべての発表に通っています。実際に、Shopifyは次の数字を示しています。

  • Shop Payのアカウントを持つ買い物客:4億人以上(2026年9月30日時点)
  • AIチャネルで発見可能になったカタログ商品:10億点以上
  • Shopifyペイメントがブロックする高リスクな決済:毎分12,000件以上

また、これまで12月に発表されることが多かった冬のEditionに比べて早い、10月末の発表となりました。そのため、ブラックフライデーセールや年末商戦の前に内容を確認できるタイミングです。何を前に済ませ、何を後に回すかを決めておきましょう。

2. Shopify Editions Fall ’26を日本のストア目線で仕分けると

150以上の発表のうち、日本のストアに関係が深いものを3つに分けました。詳しくは次の章から順に解説します。

Shopify Editions Fall ’26の主な発表を「今すぐ使える」「準備しておく」「日本は対象外・限定的」の3つに分類した図
区分主な機能
今すぐ使えるSidekickの一括変更・提案、ロールアウト(予約公開と自動終了)、バリエーション編集の刷新、Shopify Flowの新トリガー、分析の注釈、POSの棚卸し・カート引き継ぎ、Shopify Protectの不正対策
準備しておくShopify Catalogの適格性とナレッジベース(AIチャネル対策)、ポリシーページの整備、チェックアウトのカスタムフィールド(ブラックフライデー後に提供)、アプリの仕様変更への対応、セッション計測の変更への備え
日本は対象外・限定的Shop Campaigns、Shop Promise、Managed Markets、Shopify Taxの代行納付、ChatGPT・Google・CopilotでのAI内購入(主に米国の購入者が対象)

3.AIチャネル(エージェンティックコマース)への備え

今回の Shopify Editions でもっとも比重が大きいのが「エージェンティックコマース」です。これは、ChatGPTやGemini、MetaのAIなどとの会話の中で商品が見つかり、そのまま買われる仕組みです。つまり、お客様はストアを直接訪れません。AIに「こういう商品を探して」と頼むと、AIが候補を比較・提案して購入まで進みます。

Shopifyではこの仕組みを「エージェンティックストアフロント」と呼びます。また、要件を満たすストアでは標準で有効です。出品先のAIチャネルは「販売チャネル」>「Agentic」で管理できます。

ストアの商品データとポリシーがShopify Catalog・ナレッジベースを通じてAIチャネルに渡り、購入に至るまでの流れ

AIに渡るのは「商品データ」と「ストアの事実情報」

まず、商品データは「Shopify Catalog」を通じて各AIに渡ります。Shopify Catalogとは、Shopify全体の商品データベースです。次に、返品条件や配送先などの事実情報は「ナレッジベース」から渡ります。つまり、この2つがAIに評価される材料になります。

今回追加された主な機能

  • ナレッジベース:返品期限・配送先・ギフト対応・支払い方法など、AIに渡す事実情報を管理画面で確認・公開できます。Shopifyがストアの内容から下書きを作り、承認した情報だけが公開されます。
  • Shopify Catalogの適格性チェック:自社ストアがShopify Catalogに掲載される条件を満たしているか、満たしていない場合に何を直せばよいかを確認できます。
  • 割引前価格の連携:値下げ中であることを、追加設定なしでAIに伝えられます。
  • AIエージェント内のShop Pay:MetaのMuse、Claude Duet、Grok Bot、InstinctなどのAIの中で、Shop Payによる購入ができるようになりました。カード番号はAIに渡らず、カードブランドのトークンで安全に決済されます。
  • AIツールからのストア管理:ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft Copilot、Perplexityなど9つのAIとストアを接続し、チャット画面から商品・在庫・注文・実績を確認・操作できます。

AI内で購入できる国はチャネルごとに異なる

もっとも誤解されやすいのがこの点です。AIの中で購入まで完結する「ダイレクトチェックアウト」の対象国は、AIチャネルによって異なります(2026年10月時点)。

AIチャネル購入方法対象となる購入者の国
Meta(Museなど)AI内で購入完結米国・カナダ・メキシコ・ブラジル・日本・シンガポール
Google AI Mode・GeminiAI内で購入完結米国・カナダ・オーストラリア(ストアの所在国は問わない)
Microsoft CopilotAI内で購入完結米国
ChatGPTAIが商品を紹介し、購入はストアのチェックアウトで完了米国(ストアの所在国は問わない)

日本の購入者が対象に入っているのは、現時点ではMetaのチャネルです。Metaで販売するには、「Facebook & Instagram by Meta」販売チャネルで商品フィードを同期しておく必要があります。また、北米・豪州へ越境販売中なら、GoogleやChatGPTも対象になり得ます。

国内向けのストアでも、商品データとストア情報は今のうちに整えておくべきです。なぜなら、どのAIチャネルも同じ仕組みで情報を受け取るからです。そのため、対象国が広がればそのまま効果が出ます。

AI内の購入で使えないもの

  • 定期購入のみの商品、バンドル商品、カスタマイズ商品、B2B専用商品
  • ローカルデリバリー、店頭受取、受取場所
  • アプリで追加したチェックアウトのブロック(アップセル、同意の取得など)の一部
  • Googleアナリティクスやカスタムピクセルなど、ブラウザ側の計測(サーバー間の計測のみ動作)

一方で、自動ディスカウント、ディスカウントコード、Shopify Functionsは動作します。AIチャネル経由の販売に追加の手数料はなく、通常の決済手数料のみです。

今やっておきたいこと

  • 管理画面の「販売チャネル」>「Agentic」で、Shopify Catalogの適格性を確認する
  • ナレッジベースの下書き(返品・配送・ギフトなど)を確認し、正しい情報だけを公開する
  • 利用規約・プライバシーポリシー・返品返金ポリシーを「設定」>「ポリシー」で整備する
  • 商品説明の冒頭6,000文字以内に、必要な法的表示(注意書きなど)を入れる
  • 2段階認証やパスキーを設定し、アカウントを良好な状態に保つ(Catalog掲載の条件の一つ)

ナレッジベースで公開した情報は、AIチャネル全体に公開されます。社外秘の情報は載せないようにしましょう。なお、以前の「Shopify Knowledge Base」アプリは2027年1月15日に廃止予定です。

4.SidekickとCanvas:AIが「作業する」段階へ

Shopifyの管理画面に標準搭載されているAIアシスタント「Sidekick」(追加料金なし・日本語対応)が、今回のEditionで大きく進化しました。つまり、質問に答える存在から、作業を代行する存在へと変わっています。実際、Sidekickの1日のセッション数は前年比4.2倍です(Shopify発表)。

Sidekickでできるようになったこと

機能できること
複数の変更をまとめて適用「このコレクションの全商品の説明文を直して」と頼むと作業プランを作成し、一度の承認でまとめて反映
管理画面のどこからでも呼び出し刷新された管理画面の全ページ下部に入力欄。長い作業はサイドパネルで進行
ホーム画面での提案管理画面を開くと、優先して取り組むべきことと次のアクションを表示
下書き注文の作成・編集「〇〇様向けにこの商品を2点、10%引きで」と頼むと下書きを作成。変更点はハイライト表示
計算・コード・ウェブ調査売上の前年比較や予測、市場調査まで対応
記憶とスキル一度教えた手順や好みを覚え、よく使う作業は「スキル」として保存
決済・価格の相談「入金額が少ない理由」「チャージバックの主な原因」などに回答
チェックアウトのカスタマイズ支援チェックアウトエディタやCheckout Blocksアプリでの設定作業を補助

反映されるのは、人が承認した変更だけです。そのため、使う前に社内ルールを決めておくのがおすすめです。例えば、一括変更はまず数件で試す、承認前に差分を確認する、変更内容をチームで共有する、といったルールです。

SimGym:AIの「仮想の買い物客」で改善点を検証

「SimGym」は、AIの仮想の買い物客にストアを使わせ、改善点を洗い出すアプリです。今回、SimGymとSidekickが連携し、検証済みの改善案を提示できるようになりました。AIリサーチプレビューの位置づけで、月の無料枠を超えると有料です。ただし、結果は実際のお客様の行動と異なる場合があります。そのため、気づきを得る道具として使うとよいでしょう。

Canvas:ストア全体を見ながらAIとデザインする新エディタ

Canvasは、ストアの全ページを1つの画面に並べて編集できる新しいスペースです。クリックやSidekickへの指示で、デザインを変更できます。2026年10月1日に早期アクセスとして公開されました。Shopifyによると、テーマなしの状態から公開までの時間が20%短縮されたそうです。

ただし公開時点では、Shopify製テーマとカスタムテーマのみが対象です。つまり、テーマストアで購入した他社製テーマには使えません。マーケット別の設定、ロールアウト、翻訳、アプリブロック・アプリ埋め込みにも未対応です。さらに、Canvasで編集したテーマはアップデートを受け取れません。既存のテーマエディタを置き換えるものでもありません。そのため、まずはLPのたたき台づくりやデザインの方向性を探る用途で試すのが現実的です。

5.ロールアウト:セールの予約公開と自動終了

Shopify Editions Fall ’26の中でも、日本のEC運用で特に効果が大きいと考えているのが「ロールアウト」です。テーマの変更、チェックアウトの設定、価格を含むカタログ、ディスカウントを1つにまとめ、日時を指定して公開できます。期間を決めたイベントなら、終了時に自動で元の状態へ戻ります。作成は「マーケット」>「ロールアウト」から行い、Basicプラン以上で使えます。

Shopifyロールアウトのローンチ・イベント・実験の3タイプを時系列で比較した図
タイプ使いどころ終了時の動き
ローンチ新商品の発売、サイトリニューアル変更がそのまま確定する(元に戻せない)
イベント期間限定セール、初売り、季節キャンペーン終了日時に自動で元の状態へ戻る
実験A/Bテスト(初期設定は50:50、90日間)。Growプラン以上終了時に元へ戻る

さらに今回のEditionでは、ヘッドレス構成、POS、Googleショッピング、Shopアプリにも予約変更やA/Bテストを展開できるようになりました。また、ディスカウントをテーマ・チェックアウトの変更と連動させられるようになりました。

日本のストアでの活用例

  • 元日0時の初売り・福袋:トップページのバナー、セール価格のカタログ、ディスカウントを、深夜に手作業することなく同時に切り替え
  • モールの大型セールとの同期:楽天市場やAmazonのセールに合わせた自社ECのセールを、開始・終了時刻ぴったりに運用
  • ブラックフライデー・年末商戦:期間終了後にディスカウントやセール価格が残り続ける事故を防止
  • A/Bテスト:テーマやチェックアウトの変更を一部の訪問者にだけ見せて、外部ツールなしで効果を比較

使う前に知っておきたい注意点

  • 1つのロールアウトに入れられるテーマ変更とチェックアウト変更は、それぞれ1つまで
  • テーマ・チェックアウトの変更とA/Bテストはオンラインストアのみが対象。B2Bカタログ、Vintageテーマ、Liquidテンプレートの変更は対象外
  • ロールバックで戻るのは「現在のカタログの状態」。期間中に手で加えた編集は残る。POSや商品フィードは次の同期まで元の価格が残る場合がある
  • ディスカウントは自身の有効期間も持つため、ロールアウトの期間と両方を確認する
  • 未終了のロールアウトをアーカイブすると、その中のテーマのカスタマイズは削除される

本番の大型セールで使う前に、小さなイベントで一度動きを確かめておくと安心です。

ロールアウトだけでは難しい切り替えは「Theme Switching Rocket」で

ロールアウトは、予約公開と自動ロールバックを標準機能で実現できる便利な仕組みです。ただし、上の注意点のとおり、変更できる範囲には制約があります。また、価格や商品の出し分けは「カタログ」単位で管理する設計です。そのため、次のような切り替えには弊社アプリ「Theme Switching Rocket」が向いています。

やりたいことShopifyのロールアウトTheme Switching Rocket
コード(Liquid)まで作り込んだセール用デザインに切り替えるLiquidテンプレートの変更は対象外別に用意したテーマを、指定した時刻にまるごと公開できる
特定の商品を、発売時刻に公開・終了時刻に非公開にするカタログ単位で有効・無効を切り替える(マーケットのカタログ設定が必要)商品を選ぶだけで、ステータス(アクティブ/下書き)を予約変更できる
商品ごとにセール価格を設定し、終了時に元へ戻す価格はカタログ(価格表)で管理するバリエーションごとの割引率で販売価格と割引前価格を書き換え、終了時に元の価格へ戻せる
毎月・毎年くり返すセールを手早く準備するイベントごとに設定する過去のキャンペーンを複製し、日時を変えるだけで予約できる

テーマ・商品・価格の切り替えをまとめて予約するなら

テーマの切り替えと一緒に、商品の公開・非公開やセール価格の変更もまとめて予約したい場合は、弊社アプリ「Theme Switching Rocket」もご検討ください。すべてのShopifyプランで利用でき、7日間の無料トライアルがあります。

Shopify App Storeで詳細を見る設定方法・よくある質問を見る

6.チェックアウトの新機能とShopify Protect

チェックアウトのカスタムフィールド(ブラックフライデー後に提供)

Fall ’26では、チェックアウトにも大きな変更が入りました。まず、アプリを使わずにチェックアウトへ独自の入力欄を追加できるようになります。入力された値は、注文のメタフィールドに保存されます。また、注文詳細・サンキューページ・注文状況ページで確認できます。さらに、表示条件をカートの商品やマーケットごとに変えることもできます。

チェックアウトのカスタムフィールドで追加できる入力欄をShopify Plusとその他のプランで比較した表
プラン追加できる入力欄
Shopify Plus1行テキスト、複数行テキスト、選択リスト、日付、チェックボックス、配送指示、ギフトメッセージ
その他のプラン配送指示、ギフトメッセージのみ

例えば日本のストアなら、ギフトメッセージや配送指示に使えます。さらにPlusであれば、のしの種類・法人名・配達希望日などの入力に活用できそうです。ただし、日付の欄はあくまで日付を入力するだけのものです。そのため、配送の時間帯指定や受付可能日の制御まで置き換えられるかは別問題です。現在お使いの日時指定アプリと比べて判断しましょう。

なお、AIチャネルのダイレクトチェックアウトでは、アプリで追加した入力欄が表示されない場合があります。一方、このカスタムフィールドは表示されます。提供開始はブラックフライデーセールの後です。開始後は、チェックアウトとアカウントのエディタに自動で追加されます(申請不要)。

チェックアウトの見た目と使い勝手の改善(近日提供)

  • 決済方法の選択が、ラジオボタンからタイル型の表示に
  • 決済完了から注文確認へアニメーションで切り替わる、新しいサンキューページ
  • コンパクトなスタック型の入力フォームで、スクロール量と入力ミスを削減
  • iPhoneでQRコードを読み取れば、ChromeやEdgeなどSafari以外のブラウザからもApple Payで支払い可能に

特に見た目を独自に調整している場合は、提供開始後に表示崩れを確認しましょう。

Shopify Protect:不正注文とチャージバック対策をひとまとめに

Shopify Protectは、注文の前後を通して不正対策と異議申し立て(チャージバック)への対応をまとめた機能群です。Shopifyペイメントを使っていれば、多くの機能が追加費用なしで自動的に動きます。

段階機能提供状況
注文前不正がほぼ確実な決済を、カード会社に送る前に拒否。注文自体が作られないため、キャンセルや返金の手間が発生しない提供中
注文後注文ページで、リスクが高いと判断された理由を分かりやすく表示提供中
注文後防いだ金額などを確認できる分析レポート順次
異議申し立て銀行が求める証拠を自動で集め、AIで回答文を作成。配送業者の配達証明も自動で添付提供中
異議申し立てチャージバック補償をShop Pay以外の注文にも拡大近日(対象地域は要確認)
ルール設定専用アプリで独自の判定ルールを作り、過去90日分の注文で効果を試してから有効化ウェイトリスト受付中

不正対策は「決済の通りやすさ」にも影響する

Shopifyのブログによると、100ドルのチャージバック1件のコストは約238ドルです。これは、商品・手数料・対応工数を含めた金額です。また、不正によるチャージバックが売上の0.5%前後のストアについてのデータもあります。そうしたストアは、ほとんど発生しないストアに比べてカードの承認率が7.4ポイント低いそうです。つまり不正対策は、売上を守るだけでなく、決済の通りやすさにも影響します。

ブロックされた決済は、管理画面の「注文管理」>「チェックアウト離脱」の「ブロック済み」で確認できます。もし正当なお客様がブロックされたら、下書き注文から請求書を送りましょう。

7.日々の運用・商品管理・分析の改善

今回の発表の中では派手さはありませんが、毎日管理画面を使う運用担当者にとって効果を実感しやすいのがこの領域です。

管理画面と運用

機能日本のストアでの使いどころ
管理画面の全面リニューアル(順次)メニューとレイアウトが変わるため、社内マニュアルのスクリーンショット更新が必要に
ストア全体の変更履歴ログ(近日)誰が・どのアプリが何を変えたかを1か所で追跡。複数人や外部パートナーで運用するストアのトラブル調査に有効
ファイルのフォルダ管理商品画像やバナーを季節・キャンペーン別に整理
メタフィールドのクイック編集どのページからでもメタフィールドをその場で編集
ポリシーの自動生成返品・連絡先・発送・利用規約を自動生成し、設定変更と同期。特定商取引法など日本の法令に沿った表記かは別途確認が必要
パスキーでのログイン顔認証や指紋で、より速く安全にログイン
アプリ拡張の状態確認(近日)各アプリの拡張機能が正しく動いているかを設定画面で監視

商品管理(マーチャンダイジング)

  • バリエーション管理の刷新(2026年12月から順次):商品ページの中でバリエーションの検索・絞り込み・一括編集が可能に。一括の価格変更は5クリックから2クリックに。サイズ・カラー展開の多いアパレルや雑貨で特に便利です。
  • 1バリエーションに最大20個のバーコード:JANコードと社内コードなどを複数登録でき、POSでどれをスキャンしても該当商品を呼び出せます。
  • 複数ソースのコレクション:商品やバリエーションを組み合わせて1つのコレクションにまとめ、Sidekickで作成・再利用できます。
  • チャネル別の商品データ:販売チャネルごとに商品データを対応付け、カタログの変更に合わせて自動で更新します。

Shopify Flow(業務自動化)

「〇〇が起きたら△△する」というルールで定型作業を自動化できる無料アプリ「Shopify Flow」も強化されました。商品の価格・タグ・メタフィールドなどが変わったタイミングでワークフローを動かせるようになりました。さらに、スタッフ権限による閲覧・編集の制限や、過去バージョンとの比較・復元にも対応しています。「価格が変わったら担当者に通知する」「特定のタグが付いたら連携先に反映する」といった自動化が組みやすくなります。

分析

  • 注釈:レポートのグラフに「メルマガ配信」「セール開始」などのメモを残し、数字の変動と結び付けられます。
  • メタフィールド・メタオブジェクトでの分析:色や素材などの商品属性、ブランドや保証などの独自データで売上を切り分けられます。
  • アプリのイベントの取り込み:ポイント利用やメール配信など、アプリ側の行動をストア分析と並べて確認できます(アプリ側の対応が前提)。
  • 統合マーケティングレポート:流入元を個別に管理し、どのチャネルが売上につながったかの判定の誤りを減らします。

8.実店舗(POS)とShopアプリ

Shopify POS:店舗とECをつなぐ機能が充実

iPadやスマートフォンで使えるShopifyのレジアプリ「Shopify POS」にも、今回のアップデートで実店舗を持つブランドに効く改善が多く入りました。

  • 来店客の自動識別の拡大:Shopifyペイメントで決済した買い物客のネットワークを使い、初めて来店したお客様でも認識できるようになります。デジタルレシートを選んだお客様が同意すれば、顧客プロフィールに保存されます。Shopifyによると、特定できたお客様のLTVは匿名客より60%以上高いそうです。
  • オンラインのカゴ落ちカートを店頭で呼び出し:お客様のメールアドレスをPOSに入れると、ネットでカートに入れたままの商品を表示し、そのまま店頭で購入を完了できます。
  • カートの保存と引き継ぎ:作成中のカートを端末間で保存し、シフト交代や複数のお客様の同時接客でも、別のスタッフが続きから対応できます。
  • 管理画面から予約する棚卸し:商品・ロケーション・期間を指定して棚卸しを設定し、誰が何を数えたか確認してから在庫を調整できます。
  • スタッフ管理:販売とスタッフの紐付け、返金や手動割引の操作ログ、CSVでのスタッフアカウントの一括作成・停止に対応しました。

来店客の識別はShopifyペイメントでの決済が前提です。また、導入前に店頭での個人情報の扱いや同意の取り方を社内で確認しましょう。

Shopアプリ・Shop Pay

  • 複数ブランドの商品を1つのカートでまとめて購入できる「ユニバーサルチェックアウト」
  • Shopアプリとオンラインストアのカートの双方向の同期
  • オンラインストアのデザインがShopアプリのストアページに自動で反映(早期アクセス)
  • Instagramのリールや画像をShopアプリで購入できるコンテンツとして同期
  • メールなどで配布した未使用のクーポンを、お客様がShopアカウントで見つけられる表示

ただし、これらの多くは、お客様がShopアカウントやShop Payを使っていることが前提です。そのため、Shop Payをまだ有効にしていないストアは、この機会に検討する価値があります。

9. Shopify Editions Fall ’26で注意しておきたい変更点と期限

一方で、今回の発表には、レポートやアプリに影響する変更もあります。特に次の4点は、事前に把握しておきましょう。

1. セッション数・コンバージョン率の見え方が変わっている

Shopifyの分析で「セッション」の数え方が、2026年9月21日〜23日にかけて変更されました。具体的には、ボットのセッションが標準で除外されます。また、日付をまたぐ行動は1セッションにまとまり、カートリンクから直接購入したケースも数えられます。

注文数・売上・顧客数は影響を受けません。しかし、セッション数を分母にするコンバージョン率は変動します。そのため、月次報告で前年比を見る際は注意が必要です。計測方法の変更による差だと注記し、レポートに注釈を残しておきましょう。

2. アプリのスクリプトタグが2027年3月1日に停止

「スクリプトタグ」は、アプリが計測タグなどをストアに差し込む古い仕組みです。すでに2026年10月1日から新規作成・更新ができません。さらに、2027年3月1日には差し込み自体が停止します。その結果、この仕組みを使う古いアプリやカスタムアプリは機能が止まります。移行先の「アプリ埋め込み」はテーマエディタで有効にする必要があります。導入アプリの対応状況を確認しておきましょう。

3. アプリのアクセス方式が2027年1月から順次切り替え

Shopify App Storeの公開アプリは、2027年1月1日までに有効期限付きのアクセストークンへ移行する必要があります。未対応のアプリはApp Storeから削除されます。さらに、2027年4月1日以降は連携が止まる可能性があります。対応するのはアプリの開発元です。ただし、基幹システムや物流との連携アプリは、念のため開発元に確認しましょう。

4. ブラックフライデー・年末商戦との兼ね合い

まず、チェックアウトのカスタムフィールドはブラックフライデーセールの前や期間中には提供されません。一方で、タイル型の決済表示などは「まもなく提供」とされています。また、管理画面のリニューアルでメニュー構成も変わります。そのため、提供開始の案内を確認し、表示崩れや社内マニュアルの更新に備えましょう。

10. Shopify Editions Fall ’26で現時点では日本対象外・限定的な機能

海外でよく紹介されていても、日本のストアではまだ使えない機能があります。以下は2026年10月時点の公式ヘルプに基づく整理です。

機能何のことか現在の対象
Shop CampaignsShopアプリ内の成果報酬型広告。今回35以上のマーケットへの拡大を発表ビジネス所在地が米国・カナダのストア
Shop Promise配達・返品の信頼性を示すバッジ。Shopアプリなどの検索で上位に表示米国内の注文
Managed Markets越境販売の税・関税・通関を代行。今回、関税込み価格と定額配送料に対応米国本土、カナダ・英国の一部のストア
Shopify Taxの代行納付米国の売上税をShopifyが計算・納付米国
HSA/FSA決済米国の医療用口座での支払い米国(近日)
ChatGPT・Google・CopilotのAI内購入AIの中で購入まで完結する仕組み主に米国(Googleは加・豪も)の購入者
Campaign AutopilotストアのデータからAIが広告・メール施策を提案・実行Shopifyペイメント必須。ヘルプ上は早期アクセスで、連携先ごとに要件あり

今回のShop Campaignsのように、米国先行の機能が順次ほかの地域へ広がることもあります。今は対象外でも、次回以降のEditionで状況が変わる可能性があります。

11. Shopify Editions Fall ’26のまとめ:ブラックフライデー前と後にやること

Shopify Editions Fall ’26の軸は、AIチャネルへの対応です。さらに、セール運用、チェックアウト、不正対策、店舗運営まで、日々の業務に効く改善が数多くありました。日本のストアにとっての優先順位を時期別に整理します。

ブラックフライデー・年末商戦の前に

  • ロールアウトで、年末セールや初売りの予約公開と自動終了を設定する(まずは小さなイベントで動作確認)
  • Shopify Catalogの適格性とナレッジベースの内容を確認する
  • ポリシーページ(返品・配送・利用規約・プライバシー)を最新にする
  • 2段階認証・パスキーを設定する
  • 分析レポートに注釈を残し、セッション計測の変更前後を区別できるようにする
  • 導入アプリのスクリプトタグ・アクセス方式の対応予定を確認する

ブラックフライデーセールの後に

  • チェックアウトのカスタムフィールドで、ギフトや配送指示の入力欄をアプリなしで置き換えられるか検討する
  • 新しい決済表示・サンキューページ・入力フォームの表示を確認する
  • Sidekickの一括編集やShopify Flowの新トリガーで定型作業を自動化する
  • 刷新された管理画面とバリエーション画面に合わせて、社内マニュアルを更新する
  • 対応テーマであれば、Canvasを試してみる

12.参考リンク(公式発表・ヘルプセンター)

※本記事の内容は2026年10月末時点の情報です。機能の提供状況は変わる可能性があるため、最新情報は各リンク先をご確認ください。

13.Shopifyの運用・新機能の活用にお悩みの方へ

いかがでしたでしょうか。今回のEditionは発表数が多く、日本で使えるかどうかも機能ごとに異なります。そのため、「自社ではどれから手をつけるべきか」が分かりにくい内容でもあります。

インフィニションでは、Shopifyストアの構築から日々の保守・運用、新機能の導入支援まで対応しています。「自社のストアで使える機能を整理してほしい」「年末セールにロールアウトを使いたい」「AIチャネルに向けて商品データを整えたい」といったご相談がありましたら、ぜひ下記のフォームからお気軽にお問い合わせください。

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